兆候は?誤嚥性肺炎の観察項目とは|高齢者と嚥下障害|介護食

「高齢になると誤嚥(ごえん)が起きやすくなる」といわれています。

誤嚥(ごえん)とは、

  • 物を飲みこむ力(嚥下力:えんげりょく)が弱くなり、食べ物などが食道ではなく間違って気管や肺に入ってしまうこと

をいいます。

このように、「物を飲みこむときに間違って気管や肺に入ってしまうこと」を誤嚥といいますが、誤嚥による肺炎を誤嚥性肺炎といいます。

誤嚥性肺炎の徴候と観察項目|自宅でできること

誤嚥性肺炎は、誤嚥をしやすい高齢者が起こしやすい病気です。

ここで、誤嚥性肺炎の徴候や症状の特徴をみていきましょう。

≪誤嚥性肺炎の徴候や症状≫

  • 熱が出る
  • 咳き込む
  • 呼吸が苦しい
  • 元気がない
  • 食欲がない
  • などなど

誤嚥性肺炎の徴候や症状には、いろいろな兆候や症状があります。

一般社団法人『日本呼吸器学会』では、誤嚥性肺炎の症状について次のように説明しています。

≪誤嚥性肺炎の症状について≫

発熱、咳、膿のような痰が肺炎の典型的な症状です。しかしこれらの症状がなく、なんとなく元気がない、食欲がない、のどがゴロゴロとなる、などの非特異的な症状のみがみられることが多いのが誤嚥性肺炎の特徴です。

出典:日本呼吸器学会

このように、

誤嚥性肺炎の徴候は、「熱が出る・咳き込むなどの分かりやすい症状」もあれば、「元気がない・食欲がないといった分かりにくい症状」まであるのが特徴なのですね。

実際に、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の診断は難しいものがあるようで、「病院で風邪と診断されたけど実は肺炎だった…」ということもあるそうです。

誤嚥性肺炎の観察項目

誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の徴候や症状は、分かりやすいものから、分かりにくいものまであります。

ですので、嚥下力が弱い・嚥下障害がある高齢者の方が身近におられるときには、常に「誤嚥をしていないか」、また「誤嚥性肺炎になっていないか」に注意する必要があります。

ここでは、「家庭でできる誤嚥性肺炎を見分ける観察項目」をご紹介していきたいと思います。

≪誤嚥性肺炎の観察項目≫

  • 熱が出る
  • 咳き込む
  • 呼吸が苦しい
  • 元気がない
  • 食欲がない
  • などなど

誤嚥性肺炎の観察項目をご紹介しましたが、誤嚥性肺炎の観察項目は、先ほどお話しした誤嚥性肺炎の徴候・症状の項目と一緒になります。

先ほどもお話ししたように、誤嚥性肺炎の徴候・症状は分かりやすいものから分かりにくいものまであります。

ですので、熱がでたりすれば「肺炎かもしれない」と気がつきやすいですが、元気がないだけでは肺炎になっていても気がつかないことがあります。

そういったことから、誤嚥性肺炎の観察項目では、『常に高齢者の身体の状態の変化を注意深く観察すること』がとても大事になります。

誤嚥性肺炎の特長や対策の本はこちら

誤嚥の原因と高齢者

誤嚥が起きる原因には、「飲みこむ力が弱くなり上手にものを飲み込めなくなること」があげられます。

※上手にものを飲み込めないことを嚥下障害といいます
※嚥下(えんげ)とはものを飲みこむこと

高齢になると喉(のど)の筋肉が衰えてきて嚥下力が弱くなります。

ですので、高齢者はものを飲みこむ力が弱く誤嚥が起きやすくなります。

はじめにお話ししたように、誤嚥(ごえん)は誤嚥性肺炎につながります

※肺炎とは細菌により肺が炎症を起こしている症状のこと

誤嚥が原因で肺炎になることを誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)といいますが、高齢者の方は体力や抵抗力が弱いので、誤嚥性肺炎になりやすい傾向があります。

2016年に厚生労働省が発表したデータによると、 肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者になっています。

そして、高齢者の肺炎のうち7割以上が誤嚥性肺炎によるものとされています。

≪肺炎患者の年齢構成≫

  • 75歳以上:69%
  • 65~74歳:13%位
  • 40~64歳:7%位
  • 40歳以下:11%位

ちなみに、65~79歳の死亡原因の4位、80歳~100歳の死亡要因の3位が肺炎になっています。

以上のことから、高齢者にとって「誤嚥(性肺炎)は命にかかわること」ということが分かります。

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誤嚥性肺炎と介護食|嚥下障害に合わせた食事が大事

「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)の兆候・症状・観察項目」についてお話ししてきました。

誤嚥性肺炎を防ぐには、いろいろな方法があります。

その一つの方法として、「嚥下障害・嚥下機能に合わせた料理を食べる」ことがあげられます。

嚥下障害・嚥下機能に合わせた食事とは介護食のことになります。

嚥下障害には症状の大小があるように、介護食にも嚥下障害の症状に合わせた介護食があります。

ですので、誤嚥(ごえん)を起こさないために家庭でも嚥下機能に合った介護食を提供することが大事になります。

介護食には、

  • 一口大
  • 軟菜食
  • 刻み食
  • ソフト食
  • ミキサー食

など、たくさんの料理形態があります。

一口大や刻み食は、嚥下障害がある方の介護食というよりは、咀嚼に困難がある方の介護食になります。

嚥下障害の方の介護食は嚥下困難食といわれますが、「嚥下困難食にはペースト食・ソフト食・ムース食・ミキサー食などの介護食」があります。

このサイトには介護食についての記事もあります。

いろいろな介護食や介護食の違いを詳しく知りたいときは、介護食の記事を参考にしてください。

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嚥下機能に合わせた介護食を作って、高齢者の方の誤嚥(誤嚥性肺炎)を防いでいきましょう。