介護食・嚥下食を必要とされる方にとっては、毎日の献立は何にしようかとお悩みかも知れません。
「キャベツは介護食に大丈夫なの?」
「ピーマンは嚥下食に向いてるの?」
「ブロッコリーはどの部分を使ったらいいの?」
野菜一つとっても、介護食・嚥下食の献立を考えるときに、どのように調理したら良いのか分からないかも知れません。
そこでこの記事では、介護食・嚥下食に向く野菜を簡単にご紹介していきたいと思います。
※この記事では介護食と嚥下食の一般的な意味は同じとしました。
ただ、厳密に介護食と嚥下食の違いの一つを上げるとすると次のようになります。
- 介護食は噛む力・飲み込む力が弱くなった方向けの食事形態
- 嚥下食は飲み込む力が弱くなった方向けの食事形態
嚥下食は嚥下困難食と呼ばれることがあります。
Contents
介護食・嚥下食の基本と食事形態について
介護食・嚥下食を作ったことがない方にとっては、「介護食は難しいの?」ともわれるかも知れません。
しかし、基本を覚えると介護食・嚥下食を作ることは難しいものではありません。
『介護食・嚥下食の基本は、食べ物をかみ砕けて、飲み込みやすい料理であること。』
介護食・嚥下食の基本は、介護食・嚥下食を食べる方がちゃんと料理をかみ砕けて、飲み込めることが一番大事になります。
なので、介護食・嚥下食の献立を考えるときは『料理をかみ砕けてのどに詰まらない料理』を作ることを心がければいいと思います。
介護食・嚥下食の料理形態
ではさっそく、介護食・嚥下食に向く野菜をご紹介していきたいと思います。
今回ご紹介する介護食・嚥下食に向く野菜は「食べ物をある程度かみ砕く力がある方向けの野菜」になります。
介護食にはいろいろな食形態がありますが、食べ物をかみ砕く力がある介護食は、一口大・軟菜食・刻み食になります。
≪介護食・嚥下食の一般的な食事形態≫
※介護施設で使われている分類
- 一口大
- 刻み食
- 軟菜食(なんさいしょく)
- ソフト食
- ムース食
- ミキサー食
※ソフト食・ムース食で使われる野菜は、いったんミキサーにかけて完全になめらかにしたあと、食べやすい形に成型する料理形態。
※ミキサー食は、野菜をミキサーにかけて完全になめらかにしたあと、飲み込みやすいようにとろみをつける料理形態。
以上のように、ソフト食・ムース食・ミキサー食も介護食・嚥下食ですが、一口大・刻み食・軟菜食とは全く料理法が違います。
なので、この記事では、「野菜に熱を加えて柔らかくした献立に使用できる野菜」をご紹介していきたいと思います。
ミキサー食・ソフト食・ムース食・ペースト食などの特徴や違いを知りたい方はペースト食とは※ミキサー食・ソフト食・ムース食・ゼリー食との違いを参考にしてください。
介護食・嚥下食に向く野菜|一口大・刻み食・軟菜食
これから、介護食・嚥下食(一口大・刻み食・軟菜食)に向く野菜をご紹介していきたいと思います。
介護食・嚥下食に向く野菜は「熱を加えたら柔らかくなる野菜」です。
ただ、熱を加えて柔らかくなってもスジが残る野菜もあるので、そのあたりのこともご紹介していきたいと思います。
≪介護食・嚥下食に向く野菜≫
- キャベツ・白菜
- ブロッコリー・カリフラワー
- ほうれん草など菜っ葉類
- かぼちゃ・サトイモ・大根
- ジャガイモ・人参・サツマイモ
- ピーマン・オクラ
- なすび
- 玉ねぎ
キャベツ・白菜
キャベツや白菜は熱を加えると柔らかくなりますので、介護食・嚥下食に向いている野菜になります。
料理をかむ力にあまり問題がない方は、キャベツや白菜の芯がついていても良く熱を加えれば食べられると思います。
かむ力が弱い方や飲み込む力が弱い方は、芯を取り除いた柔らかい葉っぱの部分に良く熱を加えた献立がおすすめです。
キャベツ・白菜を使ったおすすめの介護食・嚥下食はロールキャベツ(ロール白菜)。
ロールキャベツやロール白菜には、介護食・嚥下食が必要な方でも食べやすいミンチが使われてるので、肉を食べたい方には良い献立だと思います。
また、ロールキャベツは汁があるので、とろみをつけることにより飲み込みやすい介護食・嚥下食にもなります。
ブロッコリー・カリフラワー
ブロッコリーやカリフラワーも介護食・嚥下食におすすめの野菜です。
ブロッコリーやカリフラワーは熱を加えると柔らかくなるので、好みの硬さと大きさにして献立に使うと良いと思います。
ブロッコリーやカリフラワーは、ボイルしてマヨネーズを付けて食べるだけでも良いですし、刻んでスープなどに入れるのもおすすめです。
ほうれん草・菜の花・青梗菜・春菊
ほうれん草・菜の花・春菊・青梗菜などの葉物野菜も熱を加えれば柔らかくなるので、介護食・嚥下食には向く食材です。
ただ、葉物野菜は熱を加えると色が黒っぽくなるので、色が気になる方もおられるかも知れませんね。
しかし、介護食・嚥下食の基本は食べやすい料理を作ることにあります。
なので、食べやすさを優先して料理の色はあまり気にしないのが良いと思います。
葉物野菜の献立は、あえ物や炒め物がおすすめです。
あえ物は、練ゴマなどを入れると栄養がとれますし、炒め物は油をとれますので、健康には良いと思います。
ちなみに、水菜は繊維が多いので介護食・嚥下食には向かない野菜です思います。
カボチャ・里芋・大根
カボチャ・里芋・大根も介護食にや嚥下食におすすめの野菜。
カボチャ・里芋・大根は熱を加えるととても柔らかくなるすので、食べる力が弱くなった方でも食べやすい食材です。
ただ、どの料理にも言えることですが、『介護食・嚥下食では飲み込みやすい大きさや形にして料理を提供することが大事』です。
カボチャ・里芋・大根でも、料理したあとで「のどに詰まらないような形や大きさに切ること」を心がけましょう。
ジャガイモ・人参・サツマイモ
ジャガイモ・人参・サツマイモも介護食・嚥下食に使える野菜ですが、どちらかというとちょっと硬さが気になる食材といえます。
なので、ジャガイモ・人参・サツマイモなどちょっと硬い根菜類を介護食・嚥下食に使用する場合は、いちょう切りなどのスライスにして料理するのがおすすめです。
↓いちょう切り
上の画像のいちょう切りの厚さは、介護食には厚みが厚いと思います。
介護食には上の画像の人参の厚みの1/3くらいにするのがおすすめです。
ピーマン・オクラ
ピーマン・オクラも熱を加えれば柔らかくなりますので、介護食・嚥下食に向く野菜といえます。
ピーマンはボイルをして柔らかくしたあと、和風ハンバーグのたれに入れるのもおすすめ。
ちなみに、パプリカは皮が硬いですし熱を通してもあまり柔らかくならないので、介護食・嚥下食に向かない野菜です。
オクラは介護食・嚥下食にはおすすめできる野菜です。
オクラをボイルして柔らかくしたあとに、煮びたし汁に付けておけば美味しい料理が簡単にできますよ。
ただし、大きいオクラは繊維が太くなり種も大きくなって食べにくくなるので、大きいオクラは介護食・嚥下食には向かないと思います。
なすび
なすびは皮がついたままでは介護食・嚥下食には向きません。
なすびを介護食・嚥下食の献立に使うときには、ピーラーで皮をむいて使用してください。
なすびでおすすめの介護食・嚥下食は煮びたし。
なすびの煮びたしは、一度素揚げするのが面倒ですが、美味しいのでおすすめです。
食べやすい大きさに切って、食べるようにしましょう。
たまねぎ
たまねぎはどちらかというと、介護食・嚥下食のおすすめできるかなという感じです。
たまねぎは種類によって、とても柔らかいものから、反対に繊維が気になるものまであります。
たまねぎを介護食・嚥下食で使うときは柔らかい玉ねぎを使うようにしましょう。
介護食に向かない野菜
ここからは、介護食・嚥下食に向かない野菜をご紹介していきたいと思います。
基本的に熱を通しても柔らかくなりにくい野菜は、介護食・嚥下食に向かない野菜といえます。
次にご紹介する野菜はいくら熱を通しても柔らかくなりにくい野菜なので、介護食・嚥下食に向きません。
ただ、介護食・嚥下食を食べられる方の状態はお一人お一人違うので、介護食・嚥下食を食べられる方の状態をみながら献立を考えてみるのも良いと思います。
≪介護食・嚥下食に向かない野菜の一例≫
- ネギ
- もやし
- キノコ類
- レンコン
- 豆類
- とうもろこし
- たけのこ
- ぎんなん
生野菜も介護食も向かない野菜
生野菜も介護食・嚥下食におすすめでない野菜になります。
トマト・キュウリ・レタスなどの生の野菜は薄く切っても硬いので、噛む力や飲み込む力が弱い方には、食べにくい野菜になります。
トマトやキュウリなどの生野菜が食べにくい方は、野菜ジュースで代用するのが良いのではないかと思います。
介護食・嚥下食に向く野菜|まとめ
介護食・嚥下食に向く野菜をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
介護食・嚥下食に向く野菜は「基本的に熱を加えると柔らかくなる野菜」です。
介護食・嚥下食を作るときは、介護食を食べられる方の食べる力に合わせた柔らかさと大きさの料理を作ることを心がけていきましょう。
一人一人の身体の状態に合わせた介護食・嚥下食を作ろうとすることが、介護食・嚥下食を上手に作れる秘訣の一つであると思っています。
「介護食・嚥下食に向く野菜はどんなのがあるの?」
このようにお悩みのときは、今回ご紹介した介護食・嚥下食に向く野菜をご参考にしてみてください。
追記
介護食・嚥下食でもソフト食・ムース食・ミキサー食が必要な方もおられると思います。
昔と比べて現在では、楽天やアマゾンで美味しいソフト食・ムース食・ミキサー食などが市販されています。
また、キューピー・マルハニチロ・アサヒなどソフト食・ムース食を扱う通販会社も出てきました。
ソフト食・ムース食・ミキサー食を毎日、自分で作るのは本当に大変であると思います。
介護は、毎日の作業をどれだけ少なくするかが大事なことの一つ。
介護食・嚥下食を作るのに負担を感じたときには、無理をせずに、市販の介護食も取り入れることが、より良い介護生活につながるのではないかと思っています。