認知症の方とコミュニケーションをとるとき、以下のような問題が起こりがちです。
≪認知症の方とのコミュニケーションの問題≫
- 駄目と言っても聞かない
- 会話が噛み合わない
- 話しが伝わらない
認知症の方とコミュニケーションする場合、「意思疎通が難しくトラブルが発生してしまう」こともあります。
そこでこの記事では、トラブルを防ぐために「認知症の方とうまくコミュニケーションが取れる方法」について考えて行きたいと思います。
Contents
認知症の方とのコミュニケーション|接し方のポイント
認知症の方とのコミュニケーションで一番大事なことは、「認知症の症状を理解すること」といえます。
認知症の症状にはいろいろありますが、いろいろな認知症の症状を理解することによって、認知症の方と上手にコミュニケーションを取ることができるようになります。
では、具体的に「どのように認知症の方をコミュニケーションをとればいいのか」について、いろいろなサイトを調べてみました。
≪認知症の方とコミュニケーション・接し方のポイント≫
- 健康長寿ネットの見解
- T-PECの見解
- 全日本民医連の見解
- 認知症予防財団の見解
認知症の方との接し方のポイント|健康長寿ネットの見解
健康長寿ネットは、公益財団法人長寿科学振興財団が運営している健康に関すサイトです。
健康長寿ネットでは、認知症の方との接し方について以下のように記載してあります。
≪認知症の方との接し方のポイント≫
【認知症の人が好む行動や考え方】
- 安心できる場所を求める
- 安心できる人との関わりを求める
- 自分ができることは自分からすすんで積極的にやりたい
- 昔の栄光や得意だったことを認めてほしい
【認知症の人が嫌がる行動や考え方】
- いつもと違う場所で過ごすこと
- いつもと違う人に関わること
- 「できない」と否定されてしまうこと
- 新しいことを覚えなくてはいけないこと
【認知症の人への接し方のポイント】
- なじみの関係を作る
- 孤独感を感じさせない
- 本人のペースを乱さない
- プライドを傷つけない
認知症の人への接し方としてポイントになるのが「嫌がることを強要しないこと」です。認知症の人は、自分が嫌がることを強要されると、周辺症状が強く出る傾向があります。逆に、自分が好む行動を続けていられるうちは、周辺症状が強く出にくい傾向があります。
その他、孤独感(ひとりぼっち感)を味わうこと、本人のペースを乱すこと、冷たくあしらわれること、プライドを傷つけられることを嫌います。こういった接し方をすると、周辺症状が強く出るようになり、接し方が難しくなります。
引用:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/kango/ninchi-kango.html
認知症の方との接し方のポイントは、「行動を強要しないことが大事」とありますね。
認知症の方に行動して欲しいことがあっても、上手く伝わらないことがあります。
そのようなときに、行動を強要しがちになります。
しかし、認知症の方に限らず、人は行動を強要されるのが嫌なものです。
ですので、認知症の方も行動を強要されると反発を起こします。
このように考えていくと、認知症の方とのコミュニケーションで大事なことは、まずは、「認知症の方の意見をしっかりと確認することが大事」といえますね。
健康長寿ネットでは、認知症の方との接し方の方法として、ユマニチュードもおすすめしていました。
- ユマニチュードとは「認知症の方との接し方の技法」のことです。
ユマニチュードの詳細は、ユマニチュード|人とのかかわりあいの原点|認知症ケアをご覧になってみてください。
認知症の方とのコミュニケーション|T-PECの見解
T-PECは、企業の健康相談などを行っている会社です。
T-PECでは、認知症の方との接し方について以下のように考えています。
≪認知症の方と接し方のポイント≫
【認知症の症状の特徴】
- 記憶力の低下
- 判断力の低下
- 過去の記憶・人物誤認
- 感情をコントロールする力の低下
【認知症の方への基本的介護のポイント】
認知症の方の『こころ』の特徴から基本的な介護のポイントがいくつかあります。
1.認知症という病気だけでなく、その方自身の人生の歴史、生活習慣・性格を含めて知ることが大切です。
2.症状が進行すると今までできていたことができなくなってしまうことがあります。しかし、「できなくなってしまった」ではなく、「できることは何か」を考えましょう。残存機能に注目し、少しでもできることを家族とともに行うことで、自尊心を高め精神的安定につながります。
3.過去の記憶の中で生活していることを受け入れることが大切です。
4.細かな身体の変化に注意しましょう。認知症の方は自分自身の身体的な変化について正確に理解し、伝えることが難しくなります。普段からその方の健康状態を知ることが大切です。それにより、脱水症状、肺炎、持病の悪化などを早期に発見する手がかりとなるでしょう。
5.認知症の方の身の安全を守りましょう。加齢と共に運動機能・感覚機能・生理機能などの低下により自分自身で身の安全を守ることができなくなってきます。例えば階段を踏み外してしまうことでの転倒・転落、皮膚の温度感覚が低下することでの火傷など挙げられます。そのため、周囲の方が注意深く見守ることや、履物、衣服の長さなどの調整や、環境も含めた安全の配慮が大切です。
認知症の方とのコミュニケーション・接し方のポイントは、「認知症の症状だけでなく、その方の人生や性格も捉えて接することが大事」とありますね。
認知症の方とのコミュニケーションでは、その人のことを良く知ることが、まずは大事ということが分かりました。
認知症Q&A 家族の接し方のポイント|全日本民医連の見解
全日本民医連では、認知症の方に対する家族の接し方のポイントについて、以下のように考えています。
≪家族の接し方のポイント≫
家族は認知症患者にどのように接したらよいのか、基本となるポイントを4つ挙げます
- まず、受け入れる
- 失敗を責めない
- なるべく生活を変えない
- 医療と介護の利用にも援助を
引用:https://www.min-iren.gr.jp/?p=30988
認知症の方と家族の接し方のポイントとして、「まずは受け入れる」とあります。
家族が認知症になったら、なかなか受け入れられないのが実情だと思います。
しかし、家族が認知症になったら、まずは「受け入れること」が、家族にとって大事ということです。
認知症になると、いままでできたことでも、できなくなることもあります。
そのときに、失敗を責めないことも大事であるとあります。
認知症の方は、なぜ自分のやることが上手くいかないのか分からないこともあります。
「失敗の原因が分からない」
「失敗したことすら覚えていない」
このような状態のときに、認知症の方の失敗を責めても、認知症の方は自分がなぜ責められてるのか分からないのだと思います。
訳が分からないのに責められると、怒りたくもなりますね。
これは、認知症の方でも認知症でない方も同じです。
このように、認知症の方には特有の症状がありますので、認知症の方とのコミュニケーションでは、接し方のポイントをおく理解しておくことが大事といえます。
認知症の方に対すル話し方のコツ|認知症フォーラムの見解
認知症総合情報サイトでは、認知症の方とのコミュニケーション・接し方のポイントについて以下のように記載してあります。
≪認知症の方に対する話し方のコツ≫
「ゆっくりわかりやすく」話しましょう
認知症になって脳の機能が低下すると、会話をしなくなることがあります。
しかし、会話の量が増えれば脳が活性化され、認知機能にもいい影響を及ぼします。さらに人と交流することで、生活にハリが出て、気持ちも明るくなります。
そこで、認知症の人には積極的に声をかけ、話を引き出すようにしましょう。その際、ゆっくり、わかりやすく話すのがコツです。また、認知症の人は、いくつものことを同時に理解することが苦手です。「さっき外出から帰ったから、手が汚れているかもしれませんね。手を洗いましょう」と言うと、「外出」「汚れ」「手を洗う」と三つの話がでてくるので混乱しがちです。こういう場合は「手を洗いましょう」と声をかけるだけにしてください。
認知症の人は、最近の言葉が苦手なことがあります。年齢にもよりますが、「スマホ」と言わず、「電話」と言ったほうが、理解されやすい場合があります。出身地の方言が有効なこともあります。故郷のなまりには、いくつになっても親しみを感じるようです。
子どもの頃に遊んでいたベーゴマなどのおもちゃや、若い頃の写真、好きだった歌などを話題にするのもいいでしょう。認知症でも昔の記憶は良く保たれているため、会話の糸口になるだけでなく、脳が活性化される効果があります。
これは「回想法」でも利用される手法です。
認知症の方との接し方のポイントは「ゆっくり分かりやすい言葉で話しかけことが大事」ということです。
認知症の方とのコミュニケーション・接し方のポイントの具体例
ここからは、認知症の方とのコミュニケーション・接し方のポイントの具体例をご紹介していきたいと思います。
認知症の方と接していると、認知症の方が妄想をしていると感じることがあると思います。
認知症の方が言っていることが妄想と分かっていても、認知症の方にとっては事実になっています。
ですので、まずは認知症の方の行っていることを認めてあげることが大事になります。
例えば、ご飯を食べたのに食べてないと言ってきたら、それを認めてあげることです。
まずは、認知症の方の言っていることを認めてあげましょう
そのようにして、認知症の方の言っていることを認めてあげたら、今度は少し話題をそらすことをします。
例えば、さっきご飯を食べたのに「ご飯を食べていない」と言ってきたら、「ご飯を食べていないの?」と言ってあげます。
そして、「ご飯を作るからテレビを見て待ていてね…」と話題をそらす。
このようにして、認知症の方の意識を別の話題へと誘導します。
認知症の方は、テレビを見ている間に「先ほどの会話=ご飯を食べていないこと」を忘れてしまいます。
このような接し方をすることによって、認知症の方の気持ちを否定しないで妄想を忘れさせることができます。
このような認知症の方との接し方・技法を聞いた方は、「認知症の方にとってかわいそうな対応」であると思うかも知れません。
しかし、認知症の方と接してみると、このような接し方・技法をとらざるを得ないことに気が付くと思います。
実際に、私もこの方法を知った時には、ひどい対応であると思いましたが、いろいろと認知症の方と接するようになると、この方法の有用性が分かってきました。
と同時に、この方法が認知症の方の気持ちを傷つけにくい方法であるとも感じるようになりました。
ですので、認知症の方との接し方に悩んだときは、この方法を試してみてはと思います。
きっと、いままでとは違ったコミュニケーションを、認知症の方と取ることができるようになると思いますよ。
認知症について
管理人tsubameは、普段、認知症の方と接しており、また認知症の症状、特徴についていろいろとWEBで調べたりしています。
そのような管理人tsubameですが、「認知症という言葉を分かりやすく教えて下さい。」と人から聞かれたときに、分かりやすく説明できる自信はありません。
ただ、なんとなくは、「認知症とは」と説明はできます。
そこでここからは、認知症について簡単に説明していきたいと思います。
認知症は症状のこと|病気と症状の違い
認知症は病名のことと思っている方が多いかも知れませんが、認知症とは症状のことになります。
病名と症状がどのように違うのかというと、簡単にいえば「病名は原因特定されている病気のこと」であり「症状とは病気の原因が特定されていない病気のこと」であるように思います。
ちなみに、現状では、認知症の原因はよく分かっていません。
ですので、多くの研究機関が認知症の原因を研究しています。
認知症の特徴的な症状
認知症にはさまざまな症状がありますが、さまざまな症状の中でも、とくに多くの方に見られる特徴的な症状があります。
≪認知症に良くみられる症状≫
- さっきご飯を食べたのに食べていないといったする
- 散歩から帰って来たのに散歩に行っていないといったりする
人間が社会生活をする上で最も大切なことは、他者とコミュニケーションを取ることですね。
他者とコミュニケーションが取れなくなったとき、その人はトラブルのない社会生活を送ることが難しくなります。
他者とコミュニケーションがとりずらくなる。
これが、認知症の特徴的な症状の一つになります。
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認知症の方はなにを思うのか?
認知症の方は、自分が認知症であると認識している方もいれば、自分が認知症であると認識していない方もいます。
自分が認知症であると認識していれば、他者とのコミュニケーションが取りにくくなっても、「自分がなぜコミュニケーションがうまくできないのか」を理解できるかも知れません。
しかし、自分が認知症であると認識していない方は、トラブルの原因が自分の認知症にあるとは気が付かずに、
「なぜ自分の言うことが聞いてもらえないのか」と一人で悩み苦しむそうです。
以上は一例ですが、認知症の方はこのようなことを、毎日感じているのではないかと思います。
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まとめ
認知症の方とのコミュニケーションの方法や接し方のポイント・技法についてご紹介してきました。
認知症の方とのコミュニケーションでは、まずは、認知症がどのような症状なのかを知ることが大事であることが分かりました。
また、認知症の方の人生や性格を良く知ることも大事であることも分かりました。
認知症の方と接したことがない方は、認知症の方とどのように接していいのか分からないと思います。
しかし、認知症の方との接し方のポイント・技法を一つずつ覚えていくことによって、少しずつ認知症の方とのコミュニケーションの方法が分かってくると思います。
これから、認知症の方がますます増えてくるといわれています。
そしてそのときは、認知症の方を地域で見守ることが大事といわれています。
私たちに必要なことは、認知症の方を地域で見守りながら、認知症の方と上手にコミュニケーションができるように、いまからできること取り組んでいくことかなと思いました。